女子57㎏級の松本薫は準決勝でモンゴルの成長株スミヤ・ドルジスレンに開始20秒見事な背負い投げ1本を食らってしまいました。 何とか持ちこたえて銅メダルを獲って、ロンドンの金に続いて2大会連続メダル獲得となりました。
ただ、女子は48㎏、52㎏、57㎏の三階級が金メダルに最も近く、この三階級すべて銅メダルというのは誤算ではないでしょうか。
男子はこの73㎏級と次の81㎏級の旭化成コンビが最も金メダルに近いとの下馬評でしたが、大野将平が見事に期待に沿う結果を出してくれました。
寝技あり、巴投げあり、内股あり、決勝では、内股で相手の体を崩しそこから小内刈りに変化しての1本勝ちでした。 それまでの内股での攻めがフェイントになっていました。
大野は体の捌き方、体の寄せ方、技への入り方が天才的な選手ですね。
2013年の世界選手権でチャンピオンとなった1か月後の9月に自分が主将を務めていた天理大学で彼を含む最上級生が1年生に暴力をふるったということで、3ヶ月の謹慎処分となり、対外試合も自粛という事態になってしまい、すっかり試合勘も落としてしまうというつらい経験をしました。
そうした紆余曲折を経ての金メダルの瞬間に、解説をしていた天理大学の先輩で現在天理大学柔道部監督の穴井隆将氏も感極まった声になっていました。
穴井氏は2012年のロンドンでは最も金メダルに近いと期待されながら2回戦で格下の選手に寝技で1本負けし、また2013年の不祥事のときには天理大学柔道部の副監督に就いたばかりでした。
大野将平の指導にも直接かかわり、この天才的な柔道家大野将平を心身共に支えることで、穴井氏がロンドンに忘れたものを取り戻した瞬間だったと思います。
穴井隆将氏だけに留まりませんね、井上康正監督をはじめ日本の柔道界がこの4年間待ち望んだ金メダルを遂に手にすることができました。
4年間待ち望んだって表現は正確ではないかもしれませんね。 ロンドンで金メダルがなかったってことは、北京大会以来8年間望まれていたということになりますね。