阿部寛主演映画の「海よりもまだ深く」で当年73歳の樹木希林の円熟の演技を観たばかりでしたので、この映画に出演していた樹木希林の若さには嬉しくなってしまいました。
「刑事物語」(けいじものがたり)は、1982年から1987年までに全5作が公開された日本映画のシリーズです。その第1作目ですので、出演していた樹木希林は39歳あたりだという勘定になります。
静岡にある警察署に事務員?として働く、樹木希林は仕事机の周りに写真を飾るほどの高倉健の大ファンなのですが、事件が一件落着し、過剰に暴れたハンガーヌンチャクの達人武田鉄矢が青森に飛ばされることが決定し、その後釜に北海道から三上英次刑事が赴任し挨拶にやってくるのです。
このときの樹木希林の反応が傑作でした。三上英次役はもちろん高倉健ですね。三上刑事が主人公の「駅 Station」に武田鉄矢が友情出演したお返しに高倉健がこの「刑事物語」に顔を出したのです。
この「刑事物語」は第4作めを除いて、武田鉄矢が主演だけではなく、原作も脚本も担当しています。映画の幕切れ前の一コマに、 この高倉健をちょい役で友情出演させた武田の計らいには、(若い)樹木希林の反応と共に大笑いしてしまいました。
武田鉄矢演じる片山刑事は正義感に溢れ拳法「蟷螂拳」の達人であるがゆえにいろいろ過剰捜査となりそれゆえ左遷の連続で、今日は福岡署、明日は静岡署、そしてさらに青森署へと勤務先が変わっていきます。さすらいの刑事という風情は、まるでフーテンの寅さんですね。しかも、毎回変わる赴任先でマドンナに恋して助けるのですが最後には失恋してしまうという設定もよく似ています。
第1回目のマドンナ役は有賀久代という女優でした。「聾唖の女性ソープ嬢(トルコ嬢)」という難しい役柄を演じた有賀でしたが、この作品後「自分には演技の才能がない」との理由で芸能界を引退したそうです。なかなか印象深い魅力をもった女優さんでしたが、その見切り方も見事でした。
このシリーズでは、第二作目の「刑事物語 りんごの詩」が大ヒットしたそうです。 マドンナ役には酒井和歌子が出演しています。WOWOWで6月18日土曜日の朝4:15放映予定です。 こちらには、倍賞千恵子が友情出演しているようです。