新宿歌舞伎町のTOHOシネマズ新宿の午前十時の映画祭プログラムで観ました。
2004年に英国BBC発行の雑誌のアンケートで「アカデミー賞を獲ることのなかった傑作」として2位にランされた作品です。 ちなみに1位は「ショーシャンクの空に」でした。
「ショーシャンクの空に」は1994年の作品で、7部門にノミネートされましたが、「フォレスト・ガンプ」に根こそぎ持っていかれました。
「素晴らしき哉、人生」は1946年の作品で、作品賞を含め5部門にノミネートされましたが、残念ながら無冠に終わりました。 このときアカデミー作品賞に輝いたのは「我等が生涯最良の年」でした。
一時はほとんど忘れられた作品になっていたようですが、制作から28年後に著作権が消滅してパブリック・ドメインになると、全米のテレビ局がクリスマス・シーズンに競って放送するようになり、それまで名匠フランク・キャプラ監督 を知らなかった若い世代から再評価され、今ではクリスマスにこの映画が流れることが定番となっているようです。英語名”What a Woderful Life”の方が通りがいいかもしれませんね。
ジェームズ・スチュワート主演で贈る、アメリカの良心を描いたメルヘンチックなヒューマンドラマの傑作です。 自らの人生の意味を問い続ける、すべての人々のための作品といっていいでしょう。
小さな生まれ故郷を出て世界を旅したいという自分の夢を追いながらも、主人公ジョージ・ベイリー(ジェームス・スチュアート)には予期せぬ出来事の連続で、夢の実現はお預けのまま時が過ぎていきます。
父親の急死に伴い家業の建築貸付組合(B&L)を継いで田舎の小さな町で過ごさざるを得なくなっていたジョージは、町一番の富豪である銀行家ポッター(ライオネル・バリモア)の圧力に負けず、真面目に働いていました。
美しい妻メアリー(ドナ・リード)や子供にも恵まれて、事業も好転しつつありましたが、そんな彼に不運な出来事が起き大金を失ってしまいます。 万策尽きたジョージは、クリスマスの晩に自殺を図ろうとしますが、翼をまだ持っていない二級天使(ヘンリー・トラヴァース)が翼を得るために彼を助ける使命を受け、地上に派遣されます。
天使は「生まれて来なければよかった」と言うジョージのため、特別に彼が生まれて来なかった場合の世の中を見せるのです。そしてジョージは自ら、彼がいかに素晴らしい人生を送ってきたかを悟るというお話でした。
お金のために死ぬのはもったいない、結局ものをいうのは多くの友達とジョージの篤実な人柄なのだという「アメリカの良心」に素直に拍手したくなる作品でした。