2014年にノーベル平和賞を史上最年少で受賞した17歳の少女マララ・ユスフザイを、「不都合な真実」のデイビス・グッゲンハイム監督が取材したドキュメンタリーです。
パキスタンで学校を経営する詩人の父と文字の読めない母の長女としてマララは生まれます。
アフガニスタンを英国の侵略から救った伝説の少女マラライと同じ名前を父からつけてもらったのです。
教育者である父の影響を大きく受けて、女子が学校へ行くことを禁ずるタリバンに敢然と反旗を翻します。 イギリス、ナイジェリア、ケニヤ、アブダビ、ヨルダンと世界を股にかけて女性の地位向上のため教育の大切さを訴える活動を続けます。
一部に、売名行為だとか親欧米に傾け過ぎているという批判もあります。 そうしたことも、この映画で紹介されていましたし、ブラッド・ピットの大ファン、テニスプレイヤーのロジャーフェデラーのファンであることも、弟たちとふざけあったり、ケンカをする人間くさい少女マララのそうした一面もしっかり伝えていました。
父の経営する学校の教室で幼少期を過ごし学んだ彼女は、タリバンに支配された教育事情や暮らしについてブログに綴りはじめますが、ドキュメンタリーへの出演によって身元が知れ渡り、彼女の活動をタリバン非難と受け止め脅威を感じたタリバンに命を狙われる身となってしまうのです。
そして2012年、子女には手を出さないと思われていたタリバンは、当時15歳だったマララと友人を、スクールバスで下校途中に銃撃したのです。
マララは頭に大怪我を負います。 とても生き延びるとは思えないような場所に銃弾が撃ち込まれたのですが、奇跡的な復活を遂げます。
「私はまだ生きている。私が生き延びたことには理由があり、それは教育のために闘い続けることだと思っている」という彼女の力強い言葉がとても素敵でした。
群馬県の製糸工場で働く婦女子の教育普及に尽くした吉田松陰の妹・美和を井上真央が演じたNHK大河ドラマが先週日曜日に終わりましたが、教育普及活動が本来的にもつ体制への挑戦する力の強さ、女性が自立しようと立ち上がりその気持ちが波及する力のはどんな時代でもどんな場所でも既存の確立した価値観を変えていくものだなと思いました。
世界に衝撃を与えたこの銃撃事件を中心に、マララの生い立ちや父が彼女の名に込めた想いを明かし、普通の少女がなぜ教育活動家としての道を歩むことになったのか、その真相がこの映画には描かれていました。