「赤めだか」を読みました。
落語家・立川談春の自伝的エッセーです。
立川談春が談志の弟子となり、前座から二つ目、そして真打になってこれまでの雑多な落語家修行の裏話が実名でてんこ盛りです。
12月28日月曜日の夜9時から11時25分年末スペシャルドラマとして放映される「赤めだか」の原作本です。談春役が二宮和也、談志役がビートたけしです。スペシャルゲストに春風亭昇太、春風亭小朝、三遊亭円楽、ナビゲーターは笑福亭釣瓶だそうですよ。
談春はTVドラマ「半沢直樹」では悪役でしたが、「下町ロケット」では銀行出身の佃製作所の経理担当・殿村役ってことでいい味出していますね。
彼の落語は残念ながら聴いたことがないのですが、この「赤めだか」を読んで無性に聴きたくなりました。
本の題名となった「赤めだか」は、師匠談志が飼っていた「金魚」に由来します。エサをやっても大きくならないので弟子たちは金魚ではなく赤めだかだと影で言っていたそうです。
ある日、エサをやってくれという談志の命で、要領の悪い世間知らずの談春と同期の談秋が麩をやることになりました。 彼はちぎってエサにすることとは知らず、麩を丸々1本金魚鉢に入れてしまったのです。麩が水を吸って金魚があっぷあっぷとなり大騒動になってしまいました。
結局、談秋はこの事件をきっかけに、落語修行をあきらめ、立川一門から去ってしまいます。
この本の題名には、談春のそうした同じ釜の飯を喰い苦労を共にしたかっての同僚への想いがこめられているのかもしれませんね。
前座修行は雑用ばかりで稽古もつけてもらえず、談志からも「修業とは矛盾に耐えることだ」と言われていたそうです。
えさを食べても食べても大きく育たない魚としての赤めだかを雑用で徒に時間が流れていく前座修行時代の自分に重ねた印象深いネーミングだと思いました。
スピード出世の志の輔やライバル志らくのエピソードも楽しかったですが、何より談春の目を通して語られる師匠談志の話が面白かったです。 ビートたけしがどのように演じてくれるのか楽しみです。 ビートたけしは実際に談志とも交友関係があったようですね。