再開発が進み、商店街は寂れ、昔ながらのご近所付き合いも無くなった埼玉県の岩槻で実際にあった地域猫失踪事件を記したノンフィクション「迷子のミーちゃん 地域猫と商店街再生の物語」(木附千晶著)を原案に、オリジナルキャラクターやストーリーを加えて映画化した作品です。
ロシア人監督の「太陽」で、戦後の戦争責任問題を巡ってマッカーサー元帥と対峙する昭和天皇を演じて以来9年ぶりに映画主演を務めるイッセー尾形さんが、頑固な元校長先生に扮しました。
校長職を定年退職し、妻に先立たれて一人暮らしをする元校長・森衣恭一は、堅物で偏屈なことから近所でも浮いた存在です。
訪ねてくるのは亡き妻がかわいがっていた野良猫のミイだけです。 猫好きでない森衣は追い払おうとするのですが、ミイは毎日やってきて妻の仏壇の前に座っているのです。
そんなある日、ミイが姿を見せなくなり、気になって探し始めた始めた森衣は、同じようにミイを探す人々が近所にいることを知り、その交流のなかで「いなくなってからでは伝えられない気持ち」に気付きます。 亡き妻にも、いなくなったミイにも向き合おうと決意し、必死にミイを探す森衣でしたが・・・・。
猫探しという行為を通じて、地域の猫好きの人間に疑似家族の連帯のような雰囲気が生まれる様を上手く描いた映画でした。
「60歳のラブレター」「神様のカルテ」の深川栄洋監督がメガホンをとり、染谷将太、北乃きい、岸本加世子、ピエール瀧らが共演していました。
原作は埼玉県岩槻の話でしたが、オールロケは伊豆で撮影されました。
王様のブランチでも紹介されていましたが、三毛猫のミイ(近所の人それぞれで、ソラ、タマコと名付けていました)を演じたのは、本作が本格的映画デビューとなった、猫のドロップです。 TVデビューは2013年のNHK朝ドラの「あまちゃん」だったそうです。人の命令に従わない猫ですが、撮影シーンのほとんどを一発でこなした名優さんだったようですよ。