GORILLAZ
GORILLAZ

たそがれ御留書


映画、読書、ワイン、旅、駅伝、柔道、スポーツ観戦、趣味の世界
by zoompac
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

カテゴリ
以前の記事
2021年 11月
2021年 02月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 11月
2020年 10月
2020年 09月
2020年 08月
2020年 07月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 04月
2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
お気に入りブログ
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
検索
タグ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧

読書 「許されざる者(下)」 辻原登

読書 「許されざる者(下)」 辻原登_f0090954_5301314.jpgこれまで私が読んできた「辻原登」作品の全てがぎゅっと詰まった出来ばえです。「辻原登」作品を読んだことのない人に、迷うことなくこの「許されざる者」を薦めます。

「翔べ麒麟」のみずみずしさがあります。「ジャスミン」のミステリータッチの男と女の恋が香りたっています。「韃靼の馬」の大陸との彼我の歴史が語られています。

1つのエピソードが終わるかと思うとまた別のエピソードが持ち上がって、話が膨らんでいく様は、まさに万華鏡を覗いてその絵模様の変化のうねりのようで、思わず息を呑んでしまいます。これがなかなか面白く、いつまでたってもページをめくり続けることになるのです。

日露戦争前後の明治の時代を司馬遼太郎の「坂の上の雲」と違った視点で眺めることができます。

日露の戦争、左翼運動、医療問題、建築、鉄道事業等大きなできごとがどっしり存在感をもって語られていくのですが、ふわりと舞い降りたかのような自然さで包まれたイメージが広がるのは、きっとドクトル槇と永野夫人の大人の"わりなき”恋が、貶めようとする負の力に、支えようとする正の力(運、人の結びつき、想い等)が勝り、成就する喜びを読者も共に分かち合えるからだと思います。

恋の化学変化に、時間の物理的変化を上手く溶け合わせている物語でした。

「永野夫人と一夜を過ごした槇は、翌々日、汽車で大阪に戻った。~略~、二人が森宮に戻ると、再び何事もなかったかのように森宮の時間が、以前の速さで流れはじめたかのようにみえた。しかし、じつはもうひとつの新しい時間軸がその下に、あるいは傍に加わって、絶えず旧来の時間を衝き上げ、合流し、渦をつくり、呑み込もうとしていた。」

「この動き、このうねりはいったい何をもたらすのか。 新しい時間の流れが、ついに旧来の時間を食い破って奔出し、現実を呑みこんでしまうのではないか。そのまっただ中へ、永野夫人を迎えることになるのだ。」

この物語は、すみわたる青色の光で始まります。

大きな船がしずしずとインドで脚気の研究を重ねてきたドクトル槇を紀伊半島の南に位置する森宮(和歌山県新宮市がモデル)の港に運んできます。彼を迎えるかのように、海上に浮かんだのは二重の虹です。しかも、小さい虹と大きな虹の色の順序が逆なのです。広い紫の層、青から緑、そしてピンク・・・。

「虹の中へ入ってみたいわ」という千春の言葉に誘われて、私たちは虹の二層橋をくぐって物語のなかへはいり、至福の読書の世界を楽しく過ごすことになります。

そして、上巻冒頭で登場した「二重の虹」、「ふたつの虹」のイメージは、ラストでこんなふうに繰り返されています。

槇が旅立つ日、私たちは再び港の空に大小二重の鮮やかな虹をみることになるだろう。 ひとつは、内側が紫で広い層をなし、青から緑、黄、そして・・・・・。

叙事・叙情の描写が素晴らしく、まさに眼福の物語でした。 さすがに手練れのストーリーテラー辻原登ですねぇ。 彼の代表的作品としてお薦めの一冊です。
by zoompac | 2015-09-03 05:30 | 読書・映画・音楽
<< 映画 「日本のいちばん長い日」 8月の読書、映画等の総括 >>
RELEASE INFORMATION NEW ALBUM

[通常盤]「Now On Sale!!」
TOCP-66380/¥2,548(税込)

[DVD付 初回生産限定盤]
「Now On Sale!!」
TOCP-66381/¥3,500(税込)

NEW SINGLE
WMP HIGH LOW
REAL HIGH LOW
OFFICIAL SITE
海外オフィシャルサイト
http://www.gorillaz.com/
日本オフィシャルサイト
(PC&携帯共通)
http://toemi.jp/gorillaz/
excite MUSIC