水曜日の「吉弥ひとり会」@浅草見番にいって参りました。
開口一番の桂團治朗さんの後、第一部が、「くしゃみ講釈」「船弁慶」、第二部が、創作落語の「にょろにょろ」「遊山船」でした。
「くしゃみ講釈」には、自分のデートを台無しにされた若者が講釈師後藤一山への意趣返しとして、講釈中に胡椒(店で売り切れていたので代替品の唐辛子)を火であぶって講釈を台無しにする噺です。
講釈師がなんぞ故障(差障り、恨み)でもあるのかと若者に聴いたところ、「胡椒がないから唐辛子をくすべた~!」というところがサゲになっていました。
見台を棒でたたきながらリズムをとって口上を述べたり、物忘れの激しい若者が知恵をつけられ何を買うかを思い出すため八百屋の店先で「のぞきからくり」の一段を披露したり、後半の講釈場での後藤一山の「ヘグスイ」とも「イグシュン」とも聞こえるさまざまなくしゃみのオンパレードが楽しい落語でした。
「船弁慶」は、後半の「遊山船」と並んで本日の目玉演目です。船遊びは夕涼みのイメージで夏の風物詩ですが、実際に7月25日の大阪天神祭で阪神百貨店の屋形船に乗って司会をされる吉弥さん曰く、とても船に乗って夕涼みとはいかず、暑い~!というマクラで笑わせてくれました。
雀のお松、雷のお松という迫力満点の嫁をもつ恐妻家の喜六が、友の清八から誘われて割り前(割り勘)で芸妓を呼んだ船遊びに出かけることになります。ただ、いつも人にたかって、人のお供で遊んでばかりの喜六は、自前でいくのだから、花柳界の隠語である「弁慶はん(お供の人)」と一言でも呼ばれたら割り前分の3円は払わないという条件を清八に飲んでもらっていました。
女房のお松には内緒の船遊びでしたが、お松も夕涼みで大川の浪速橋に出かけ、船遊び最中の喜六・清八に出くわします。
それからお決まりの夫婦喧嘩になりますが、酔って気の大きくなった喜六はお松を川に突き落としてしまいます。浅瀬に立ち上がったお松が「船弁慶」の平知盛を演じ、弁慶役に回った喜六に、ヤジが飛びます。「弁慶~!」 「えっ、弁慶や、清やん、今日の割り前」とらんといてね」がサゲでした。
ちなみに、能・歌舞伎にある「船弁慶」は、兄頼朝によって都を追われた義経一行が、摂津の港から船に乗るとにわかに海が荒れ「平知盛」の幽霊が襲い掛かってきます。それを「弁慶」が祈りの力で退散するストーリーです。
後半の創作落語「にょろにょろ」は演目名の通り、つかみどころのない噺でした。中村勘九郎の襲名のお礼口上の物まねかと思いきや、老舗食堂での父子のオムライス料理のこだわり、銭湯でのキャッチボール等のエピソードが並んでいました。
「遊山船」は、「船弁慶」に比べてスケールは小さい感じでしたが、笑いのとれる小噺がてんこ盛りの楽しい演目でした。 うわっ! 時間がない! 会社に遅れる!