この作家が覆面作家のままであれば、作家の正体は女性しかも若い女性と信じて疑わないでしょうね。
山ガール小説としての「八月の6日間」も私のお気に入りです。
この「六の宮の姫君」における、微に入り細に入りの解釈とその証跡探求は私にとって興味がわかない部分でしたが、磐梯吾妻スカイラインドライブシーンは良かったです。
後、文芸春秋創刊の立役者である菊池寛の描写は印象に残りました。
芥川龍之介の睡眠薬を多量に飲んでの自殺には、菊池にしかわからない因縁があったこと、友人総代として菊池が芥川の葬儀で弔辞を読んだこと等が興味深く書かれていました。
昭和2年の芥川の死の後、菊池の親しい友として直木三十五がクロスするように現れてきたそうですが、彼も昭和9年に世を去ります。
その翌年、菊池が文芸春秋に貢献したこの二人の友達を偲んで、純文芸の新進作家のために芥川賞を、大衆文芸の新進作家のために直木賞を創設しました。虎は死して皮を残すと言いますが、友人のためその労をとったのが昭和23年まで生きた菊池寛だったのです。
菊池寛が創刊に携わった文芸春秋が今、「戦後70年」特集の別冊の刊行を4冊本として始めました。
そして彼の創設した、芥川賞と直木賞の発表が今晩予定されています。
こんなタイミングで「六の宮の姫君」を読めたことに縁を感じます。そして今、私の手元には、菊池寛の「藤十郎の恋・恩讐の彼方に」があります。解説者に吉川英治とあります。