今後の読書の指針として大いに役立つ本でした。
本の雑誌6月号にも、40周年記念として縄田一男氏の「いま読むべき新・定番時代小説40冊」が特集されており、それに刺激されて、東郷隆氏の「蛇の王 ナーガ・ラージ」を読んでいるところでした。
末国善己氏と縄田一男氏が共通してあげている推薦本に乙川優三郎氏の短編集「五年の梅」に収録の「小田原鰹」がありました。
乙川優三郎の著作では、「トワイライト・シャッフル」「脊梁山脈」「生きる」「霧の橋」を去年の8月から12月の間に読みましたが、藤沢周平氏や葉室麟氏の作品のトーンに似ているようで非なる独特の味わいが気に入った作家さんでした。
私の信頼する時代小説書評家の両巨匠の推薦とあっては読むしかないですね。
その他、このお二人が揃って進めていた本に、最近「若冲」を書いて注目を浴びている澤田瞳子のお母さんの澤田ふじ子の「深重の橋」という応仁の乱前後の混迷の時代を名もない庶民の目を通して描いた小説があげられていました。
その他、末国善己氏の「マストリード100」で興味をもった時代小説は次のとおりです。
宇月原晴明の「黎明に叛くもの」: イスラム暗殺教団の秘術を受け継ぐ義兄弟として、斉藤道三と松永久秀が描かれています。この二人と織田信長の関わり方が面白そうです。
辻原登「許されざる者」:明るい司馬遼太郎の「坂の上の雲」に対して、ポジとネガのように対比される日露戦争の前後の明治を描いた小説だそうです。
加藤廣の「空白の桶狭間」秀吉の土木技術の高さを特殊な技術に精通した「山の民」としてとらえているようです。