原作を読んでいるときは気にならなかったのですが、校内裁判を中学生だけで仕切るなんて、相当不自然なことだってことに映画を観ると思えます。
藤野涼子が、小日向文世演じる元校長の、結果として問題を大きくしてしまったけど、誠実に対応してくれたことに感謝するシーンには思わず涙が流れましたよ。 生徒は見ていますよね、見えているというか、先生の誠実さ・・・。
ですから、校内裁判という不自然な設定にもかかわらず、自分の中学・高校時代の経験から、学校制度や学校の先生に対する不満や思いを主人公藤野涼子に代弁してもらっているような気になるのでしょうね。
宮部みゆきが作家生活25年の集大成として9年間にわたり連載して書き上げたミステリー巨編「ソロモンの偽証」を、「八日目の蝉」の成島出監督が映画化した2部作の後編です。
男子生徒・柏木卓也の死から始まった一連の事件に揺れる城東第三中学校で、前代未聞となる子どもによる子どもだけの校内裁判が行われることになりました。
告発状によって柏木卓也殺害の嫌疑をかけられた問題児の大出俊次を被告に、校内裁判の提案者である藤野涼子は、検事として大出の有罪を立証しようとするのです。
対して、他校生でありながら裁判に参加する神原和彦は大出の弁護人となり、涼子と対峙します。 何故他校の神原がそこまで立ち入るのかという謎についてはこの映画の最後で解明されます。
さまざまな思惑が絡まり合う中、涼子らは必死で真相を究明しようとするのですが……。
神原ほどの人間の心理の読みの深さも自作自演の狂言回しも人間離れしていてとても普通の中学生とは思えません。
現実感の乏しさも目立った映画ですが、それでも感情移入できるシーンも多い映画でした。学校でのイジメと、学校の対応、マスコミのいい加減さ、生徒の反応に真正面から取り組まれています。
個人的には、三宅樹里を演じたE-Girlsの石井杏奈のいじめられ役の複雑な演技が印象に残りました。 王様のブランチ番組にゲストとして出ていたのを見かけたのですが、きれいな顔立ちで、三宅樹里役のぶつぶつストレスアレルギー顔とのギャップに驚きました。