銀座プランタンの隣の丸の内TOEIで観ました。
去年観た吉永小百合主演の映画「ふしぎな岬の物語」とロケ地設定が驚くほど似ていました。
「ふしぎな岬の物語」が千葉県鋸南町に実在する音楽と珈琲の店「岬」をモデルに、そしてこの「さいはてにて」は、石川県能登半島の珠洲市の木ノ浦海岸近くにある焙煎珈琲店「二三味(にざみ)珈琲」がモデルとなった映画です。
映画では、「不思議な岬の物語」の方が「岬カフェ」、「さいはてにて」は「ヨダカ珈琲」とネーミングされていました。
「ふしぎな岬の物語」がオムニバス形式で千葉県の岬の先端で小さなカフェを営んできたヒロイン悦子の淹れる美味しいコーヒーと和やかな語らいを楽しみに集う人々の交流、不思議な絆が紡がれていた映画だったのに対し、「さいはてにて」は、能登半島のさいはてに残された朽ちかけた船小屋を改造した焙煎珈琲店とその傍に建つ忘れ去られたような民宿を舞台に支えあって生きる2人の女性の姿を描いた映画でした。
宮沢賢治の「よだかの星」という詩に由来する「ヨダカ珈琲」店のエピソードもなかなかよかったです。
主人公「吉田岬」役の永作博美の雰囲気がいいです。この映画にぴったりはまっていました。 凛とした孤高の中にも温かみのある表情がよかったです。 「かもめ食堂」のときの小林聡美に通じるものがありました。
シングルマザー絵里子役の佐々木希が不安定さと複雑な想いを繊細に演じていました。そして娘役の桜田ひよりって13歳の子の演技が堂々としていて瞠目しました。 ある意味、この映画は寄り添って生きている姉弟の存在が大きい映画でした。 そして父親の不在、男の存在感の無さ・・・というテーマにも寄り添っていました。
ちょい役で、永瀬正敏が友情出演していました。 シングルマザー絵里子の恋人役でヨダカ珈琲店主の岬にとっては強姦未遂魔です。
映画「KANO」で台湾版アカデミー主演男優賞を受賞された永瀬正敏氏も台湾映画界にいろいろ交流が広がったものと思われます。この映画「さいはてにて」のメガホンをとったのが、台湾映画界の新星と呼ばれる女性監督チアン・ショウチョンです。
それにしても、友情出演で、強姦魔かよ・・・という印象でした。
日本で初めて世界農業遺産にも認定された石川県能登半島の珠洲市を舞台した映画が、新進気鋭の台湾人女性監督の手によって映画化されることによって、この映画は、台湾をはじめ韓国、香港でも映画祭出品となっています。
アジアの人達がこの映画を観て、能登半島のさいはての珈琲店を目指して旅をしてくれるかもしれませんね。
そういう意味では、シングルマザー絵里子が一念発起して民宿再開し、大学相撲部がやってきて、その合宿風景が海の景色に溶け合って壮観なシーンがありましたが、アジアの観客を意識したのかもしれませんね。 とても茶目っ気ある日本らしい一コマでした。