いやー、久々というか、スェーデンの作家スティーグ・ラーソンの「ドラゴン・タトゥーの女」「火と戯れる女」「眠れる女と狂卓の騎士」という「ミレニアム」を読んだ時以来の興奮でした。
このテリー・ヘイズのおっさんには長生きしてほしいです。 早死にしたスティーグ・ラーソンの穴埋めしてほしい・・・と切に思っています。
この「ピルグリム」には早くもMGMが映画化権を獲得しているようで、こちらも楽しみです。
テリー・ヘイズ氏はもともと映画脚本家として、「マッドマックス2」、「ペイバック」、「サラマンダ―」、「クリフハンガー」、「フライトプラン」等を手掛けています。 このピルグリム三巻が初めての小説執筆のようです。
同氏は、「映画の脚本を書くのは浴槽を泳ぐようなもので、大会を泳ぐ小説とは大いに異なった、泳ぎ切るのが大変だった」と言っています。
諜報員とテロリストの息詰まる追跡劇の緊張と興奮は、まさにフレデリック・フォーサイスの「ジャッカルの日」のそれを彷彿とさせています。「ジャッカルの日」が1960年代始めのフランスを舞台にしたシャルル・ド・ゴール大統領暗殺を巡っての小説で、その暗殺のため送り込まれたプロの暗殺者の名が「ジャッカル」でした。
一方、小説「ピグリム」の主人公であるピグリムは<放浪者>という意味のコードネームをもらった諜報員で、テロを阻止するため、テロリスト<サラセン>の足跡をたどります。 サラセンにも放浪者とか遊牧民という意味があります。
こちらの小説に登場する舞台は回想シーンも含めて、アメリカ、サウジアラビア、アフガニスタン、ガザ、トルコ、シリア、バーレン、レバノン、タイ、ギリシャ、ブルガリア、ロシア、イギリス、フランス、イタリア、スイス、ドイツでまさに地球規模の世界を股にかけたスケールになっています。 グーグルで西アジア、中近東の地図をチェックしながら旅行気分で小説を読む楽しさも格別でした。
この三巻の小説(ピルグリム1、名前のない男たち、ピルグリム2、ダーク・ウィンター、ピルグリム3、遠くの敵)が、実は三部構成の小説の第一部だそうなのです。スティーグ・ラーソンにも第二のミレニアム小説の構想があったと聞いていますが、夭折のためさらなるリスベット・サランデルの活躍は実現しませんでした。テリー・ヘイズ氏には是非三部作の構想を全うしてもらい、もっとわくわくさせてもらいたいものです。