往路5区で蓄えた圧倒的な貯金を取り崩すことなくその貯金を倍増して、2位駒沢に11分以上の差をつける青山学院の圧勝でした。
初優勝でありながら、これまで東洋が2代目山の神柏原竜二の区間新の活躍があった年(2012)に叩き出した10時間51分36秒を2分以上上回る10時間49分27秒で、史上最速記録を更新しました。今後長きにわたってこの記録は破れないと思います。 初優勝にして今後の伝説となる大記録を樹立してしまいました。
優勝の青山学院は、1区2位、2区3位、3区5位、4区1位、5区1位、6区2位、7区1位、8区1位、9区1位、10区2位でした。
2位の駒沢は、1区1位、2区4位、3区1位、4区2位、5区17位、6区3位、7区2位、8区2位、9区3位、10区8位でした。
1位と2位の差は10分50秒も開いてしまいました。 青山学院が1区から10区までほぼノーミスで走ったということも大きいのですが、この11分近くの差はほとんど山の5区という他の区間とは異次元の差ができる区間でついてしまったことに注目すべきでしょう。 5区の青学、神野大地が1時間16分15秒で爆走したのに比べ、駒大馬場翔太がブレーキで1時間24分26秒だったのでこの1区間だけで8分11秒開いてしまったのです。
他の区間でどがちゃかどがちゃかと秒単位のちまちま貯金をしても、この5区で卓袱台ひっくり返されてすべてごわさん(御破算)にされてしまうのです。 そしてこの5区で得たアドバンテージは確実に復路を走る選手達に大きな相乗効果を与えます。去年、復路優勝記録歴代トップを打ち出した東洋大学、そして今年その復路記録を更新した青学の実績からも明らかです。
今回の駅伝では、5区で失敗しないことがいかに大事か、またここで快走をすれば1区から4区までで落とした2~3分のビハインドは難なく挽回できる可能性を教えてくれました。 箱根で勝つには、チームのエースを花の2区よりも山の5区に配置すべきですね。 神のまします山の5区に最大の礼を尽くさないと全日本4連覇という圧倒的な実力をもつ駒沢でさえ勝利の女神からそっぽをむかれるということです。駒大は2010年から今年までの6年間、2013年の3位を除いて、これで5回めの2位に甘んじたことになります。
青山学院は1区の久保田和真(3年)が区間1位の駒沢の中村匠吾(4年)に僅か1秒差の2位でタスキを渡しました。
2区の一色恭志(2年)は、区間1位の東洋服部勇馬(3年)に13秒、2位の城西大の村山紘太(4年)に2秒差の区間3位でした。しかし、わずかに1秒差ですが、4位の駒沢エースの村山謙太(4年)を抑えました。3区へタスキを渡したときトップの東洋に1秒差、駒沢とは秒差無しの2位という好位置を保ちました。 双子の村山兄弟の3秒差の兄弟対決の間に一色が割入った見事な走りでした。一色恭志はこれで千葉国際駅伝に続き、ロードで村山謙太に2連勝です。
3区では区間1位の駒大の中谷圭佑(2年)に49秒の差を開けられ渡辺利典(3年)は区間5位でしたが、3位のポジションはキープしました。 ちなみにこの区間の2位は明治の有村有樹で中谷との差はわずか1秒でした。
4区では1年生ながら田村和希が区間新の区間賞で5区への中継所では順位を2位にあげました。 トップを走る駒沢の工藤有生も同じ1年ですが、彼も区間新でしたが、3秒差の区間2位でした。
1区から4区までは秒差の緊迫した争いでしたが、5区で区間賞をとった超人神野大地(3年)は参考記録ながらしばらく破れないだろうと思われた2代目山の神柏原竜二の1時間16分39分を24秒上回る1時間16分15秒で5区を駆け抜けました。 柏原竜二が走った距離より20メートル長かったにもかかわらずです。
区間2位の日大D・Mキトニー(3年)が1時間18分45秒でした。 有力校の明治の文元蕙(4年)が区間6位の1時間21分13秒、早稲田の山本修平(4年)が区間10位で1時間21分45秒、東洋の五郎谷俊(4年)が区間11位の1時間22分14秒、駒沢の馬場翔太(3年)はブレーキとなって区間17位の1時間24分26秒に沈んでしまい、青山に大きな貯金を許してしまいました。
去年も6区を走って区間18位のブレーキとなった村井俊(3年)は、2位に5分近い貯金をもらっての山登りの余裕からか、区間2位の好走でした。区間1位は早稲田の三浦雅裕(3年)で、58分31秒でした。 村井は40秒遅れの59分11秒でしたが、駒沢の西沢佳洋(4年)に10秒、明治の山田速人(4年)に43秒、東洋の高橋尚弥(3年)に50秒の貯金ができました。
7区の小椋裕介(3年)、8区の高橋宗司(4年)、9区の主将藤川拓也(4年)は3区間連続の区間賞で、合計2分21秒駒沢をつき放しました。
アンカー10区の安藤悠哉(2年)も区間2位ながら(1位は城西の寺田博英(4年))、区間8位の駒沢黒川翔矢に54秒の差をつけてゴールテープを切りました。
結局、復路の6区から10区までのすべての区間で、総合2位駒沢、3位東洋、4位明治に差を拡げての、往路、復路、総合の全てで優勝という完全優勝でした。
全10区間で走った選手のうち4年生が2人抜けますが、来年の箱根に三代目山の神、超人神野を含めた8人が残る青山は来年も強いでしょうね。
2位の駒沢はWエースの中村匠吾、村山謙太を含め今回走った10人から4人の4年が抜けます。 3位の東洋も1区のスペシャリスト田口雅也を含む、4人が抜けます。 4位の明治は4年生を中心としたチームでした。今回出場しませんでしたが八木沢元樹を含め、今回2区、3区、5区を走った、大六野秀畝、有村優樹、文元蕙のカルテット・エースが皆卒業です。今回は10人中5人が4年生だったので明治はその穴埋めのための補充が緊急の課題となりそうです。
2区に予定されていたエースのE・オムワンバの土壇場の不参加ということでの影響もあって往路では一時最下位に沈んでいた山梨学院でしたが、よく盛り返してシード権確保を果たしました。往路13位でシード権入りの10位には3分ありましたが、粘りに粘って9区から10区への中継地点で10位までに54秒差の11位にこぎつけ、アンカー区間の兼子侑大(4年)が区間3位の走りでチームを9位に押し上げシード権を確保しました。 1,2年生の層も厚いので来年に期待したいですね。
予選会上がりの東海大学も早稲田に次いで総合6位と大健闘でした。 1年生エースの川端千都も2区でいい走りをしていましたし、2年生の広田雄希も駒大の中谷圭祐と西脇工で同期で強い選手なので来年にも期待できそうです。両角監督も就任4年にして強い東海の復活への地固めが整いつつあります。