男子66㎏級の高2の天才柔道家阿部一二三(ひふみ)(17歳)と世界選手権3連覇海老沼匡(24歳)の夢の対決が柔道グランドスラム東京の準決勝で実現しました。
体幹の強さ、馬力、勝負勘とも、阿部一二三が海老沼匡を圧倒していました。 自ら背負いで仕掛けて、海老沼が裏投げにきたところを、体を反転して大内刈りに切りかえしました。 もつれはしましたが、阿部のキメが見事で、海老沼は肩をついており一本負けと言われても仕方ないとこでした。 有効でポイントリードの海老沼でしたが、この技ありで逆転負けを喫してしまいました。 3位決定戦でも高市賢悟(東海大、21歳)に屈してしまい、この男子66㎏級での絶対王者海老沼匡という1強勢力図に風雲急を告げる事態が訪れようとしています
阿部一二三は、決勝でも、イスラエルのゴラン・ポラックが体落としにくるところを体幹の強さでしのいで、逆に大外刈りに切りかえして有効ポイントを奪って、優勢勝ちをおさめました。
組手負けせず、接近戦が得意で、技が切れるというより、小型ブルドーザーのように相手に圧力をかけ、もつれても常に相手の上に倒れ、なぎ倒していくのです。 前へ前へと進撃する攻撃型の柔道です。
これまでの日本人選手にいないタイプです。 階級は違いますが、90㎏級の世界選手権金メダリストでギリシアの英雄、イリアス・イリアディスの柔道スタイルに似ています。 体幹の強さ、組み負けない握力、どんな体勢からでも体を寄せて相手を投げ飛ばすパワー、もつれたときのバランスのよさ、最後まで技をかけきる執拗さと体の柔軟性・・・・、もう天性のものとしか言いようがないですね。
コーチボックスに入っていた、窪田正孝似のハンサムなお父さんもちょっと気になりました。
今年のインターハイの覇者阿部一二三の進撃が、ジュニアの試合会場からシニアの舞台に変えても続いています。講道館杯で日本チャンピオンになり、柔道グランドスラム東京で世界チャンピオンの座にまで届きました。 来年は、いよいよ世界選手権、そしてリオのオリンピックまでこの進撃が止まらないのではないかと期待させてくれる試合っぷりでした。
女子48㎏級では、19歳の近藤亜美が決勝で26歳の浅見八瑠奈との新旧世界女王対決を優勢勝ちしました。
女子52㎏級の三つ巴戦は、優勝、橋本優貴、2位、西田優香で、復活期待の中村美里は3位に沈んでしまいました。
女子57㎏級に、ロンドンの金メダリスト松本薫が戻ってきました。 2011年以来3年ぶりに柔道GS東京チャンピオンの座に返り咲きました。