ガルブレイスといっても「不確実性の時代」のJ・K・ガルブレイスではありません。
洒落かもしれませんが、同じJ・Kと言っても、J・K・ローリングなのです。 あの「ハリーポッター」シリーズの著者によるハードボイルド小説なのですが、彼女のペンネームをロバート・ガルブレイスとしているのです。 J・K・ガルブレイスをちょっと意識したペンネームと感じたのですがどうでしょうか?
名探偵「コーモラン・ストライク」シリーズにするようで、この「The Cuckoo's calling」に続いて2作目「The Silkworm」も書きあがっているようです。翻訳版も2015年に発売される予定のようです。
主人公のコーモラン・ストライクは、アフガニスタンでの兵役時代に仲間を救うため片足を失って除隊し私立探偵事務所を開いています。 しかし、カッコウならぬ閑古鳥の呼び声が響いて破産寸前で、ガールフレンドに家を追い出されて事務所に寝泊まりしている尾羽打ち枯らしたしょぼくれぶりです。
そこに、派遣会社から、1週間の契約で秘書ロビン・エラコットがやってきます。 倒産の危機にあっストライクからするとたちの悪い冗談で何かの間違いだろうと思ったのもつかの間、仕事が彼女の登場に合わせたように舞い込んできました。そしてロビンの新人らしからぬ機転の効いた対応が、その顧客の信頼を勝ち取ることに役立ったのです。まさに怪我の功名でした。
ロビンは、優秀だけどちょっと落ち目でツキから見放されたストライクを聡明さと誠実さで支えます。事件解決にあたってもロビンにとって片腕以上の役割を果たしていきます。
ロビンは優秀なので、1週間の派遣契約の間に、他の会社から正社員採用のオファーを受けますが、自分の意外な探索能力に目覚め、またストライクの仕事に役立っていることに喜びも感じて派遣会社に隠れてストライクの探偵事務所と個人契約ベースの秘書として潜り込んでしまいます。 まさに押しかけ女房ならぬ押しかけ秘書です。 ロビンには婚約者がいるという設定になっていますので、ストライクとロビンの男女の感情には抑制が働いています。
有名スーパーモデルが高級住宅街のバルコニーから転落死しました。警察からは自殺との判定が出されましたが、その判定に疑問をもった兄がストライク事務所にやってきた顧客だったのです。 何故閑古鳥の鳴く事務所にやってきたのかは読んでからのお楽しみとしてください。
まだ上巻の半分だけしか読んでいませんので、事件のあらましがまだ見えてきません。 今のところ、手に汗握るシーンもなければ、意外な展開もありません。 でも、退屈しません。 ストライクとロビンの掛け合いが微笑ましくちょっとした幸福感を味わえる小説になっています。キャラクターがよく描けている小説の面白さが味わえる作品となっています。 特にロビンの機転の効いた活躍が楽しくて仕方ありません。