またまた、TOHOシネマズ木場で観ました。
原作はこの8月2日のブログ記事でも紹介しましたが、浅田次郎氏の短編集「五郎冶殿御始末」に収録されている「柘榴坂の仇討」です。
小泉今日子との恋の掛け合い漫才のイメージが強い中井貴一ですが、明治御一新の後も武士として変わりきれない誇りと覚悟を持った生き様を見せてくれました。
主君井伊直弼の警護を務める志村金吾(中井貴一)は、桜田門外の変で、行列を襲われ敵の一人(阿部寛)を追って持ち場を離れた隙に直弼の命が奪われてしまいます。
腹を切ることも許されず、逃亡した水戸浪士の首の一つも挙げ、直弼の墓前に供えよという藩命に従い、逃亡者を追っているうちに、13年の歳月が流れ、生き残りの逃亡者はただ一人となってしまいました。
もう、時代は明治に変わって、江戸幕府も彦根藩も存在しません。 そして、金吾が佐橋十兵衛(阿部寛)を見つけたその日、明治政府は「敵討ち禁止令」を公布しました・・・・・。
終盤、二度泣きできます。
金吾と十兵衛の果し合いが一つ、もう一つは金吾の妻セツ(広末涼子)の泣き笑い顔です。
江戸から明治へと大きく社会制度が変化した御一新、いきなり全国260の藩が喪失し200万人近くの武士が失業した廃藩置県、そうした揺れ動く社会の仕組みと価値観の中で、人間として、武士としての矜持を守り続けた男の生き様が描かれていました。 映画館から出るとき観客の背筋がこころなし伸びているなと感じました。