TOHO109シネマズ木場で観ました。
トニー賞受賞の大ヒットミュージカルを基にした本作のメガホンをとったのは今年84歳のクリント・イーストウッドです。彼の最新作にして、第33作目となる本作は、クリント・イーストウッドにとっても初めてのミュージカル映画の演出です。
私にとっても、クリント・イーストウッド監督の新作を今年も観れたことが奇跡のように感じられ嬉しいことでした。
舞台は1950年代のニュージャージーです。イタリア移民の息子フランキー(ボーカル)を中心としてバンドが組まれます。ザ・ビートルズ以前に世界を座卷し、音楽会に不滅の伝説を打ち立てた4人組「ザ・フォーシーズンズ」の誕生です。
代表作「シェリー」(Sherry)「君の瞳に恋してる」(Can't take my eyes off you)もたっぷり、うっとり聴かせてもらえます。
バンドの成功と仲間の離反、解散、再会の波乱万丈の物語を舞台版ミュージカルの「ジャージー・ボーイズ」にも出演したフランキー役のジョン・ロイド・ヤング、ボブ役のエリック・バーゲン、ニック役のマイケル・ロメンダがこの映画作品でも熱演しています。
フランキーが失意と苦しみの中で「君の瞳に恋してる」を歌い上げる場面にしびれました。スクリーンの中の観客のスタンディング・オベージョンの盛り上がりに私の心も共鳴していました。クリント・イーストウッドに感謝、感謝の至福の2時間14分でした。
ミュージカルは初の演出でしたが、クリント・イーストウッドには音楽を題材とした映画監督作品がいくつかあります。バードと綽名された34歳で夭折した天才サックス奏者リチャード・パーカーを熱かった「バード」(88)、監督自身も出演して3曲歌っている「センチメンタル・アドベンチャー」(82)、ブルースの音楽史を扱った「ピアノ・ブルース」(03)等です。 クリント・イーストウッド氏の音楽に対する愛情と造形の深さを感じられそうな作品ですね。
彼の次回作、米軍狙撃手を描いた「American Sniper」という映画も是非観たいと思っています。
ちなみに私の好きな彼の監督作品は、1位が「インビクタス/負けざる者たち」(09)、2位が「チェンジリング」(08)、3位が「グラン・トリノ」(08)です。