退院の朝です。 台風が関東付近に最も接近している頃ですが、台風の眼に入っているのか雨も小ぶりで穏やかな朝です。
さて、DVD 謀議を観ました。金髪の悪魔との異名をもつナチス高官ラインハルト・ハイドリッヒが音頭をとった会議で、いかにしてユダヤ人をヨーロッパ大陸から抹殺するかということを決議した会議を復元したドラマでした。
おぞましい会議ですが、外資系に勤められている人には、この会議での意見の主張の仕方、妥協の仕方、とかハイドリッヒのやや強引とも思える議事進行の方法には、参考になることが多いと思いました。 ずいぶん昔に観た全員一致の評決を取り扱った「12人の怒れる男」も参考になりますので、併せて観られると面白いかもしれません。
1942年1月20日、ベルリンの高級住宅地である大ヴァンゼー湖畔に建つ豪華な邸宅に、ナチス・ドイツの政府・親衛隊・党・占領地域総督府などの高官達15人が参集しました。邸宅内では豪華な料理やワイン、葉巻などが高官達を迎えるべく用意されていましたたが、高官達は何のために集められたのかを図りかねていました。
議長役のラインハルト・ハイドリヒ国家保安本部長官が最後に到着し、後に「ヴァンゼー会議」と呼ばれる討議が始まりました。
各組織や高官個人の信条など思惑が交錯し、時に激しい対立や議論も起こりますが、議長のラインハルト・ハイドリヒが、手際よく議事進行を舵取っていきます。進行に掉さす意見はばっさばっさとさばいていく様が見事です。
この極秘会議の目的は一つ。それは「ユダヤ人問題の最終的解決」、つまりユダヤ人の撲滅だったのです。独ソ戦の戦況が悪化しドイツ本国や占領地域の人的・物的資源が逼迫する中、参加者達はユダヤ人の定義から始まって、法的な整合性や効率的な抹殺方法を議論し、やがて一つの結論に到達する。
やがて、アウシュビッツのガス室を使った大殺戮実行へと繋がる、意思決定の場としての「ヴァンゼー会議」を再現したTVドラマでした。
「大虐殺」について、当時のナチス高官が、冷静に、法律的な整合性をも含めて、意見を交わす様が、まるでビジネスの意思決定をするかのごとくたんたんと行われたことが不気味に思える映画でした。
宗教上、法律的な観点や、総統の意向という観点から反対する少数派もいましたが、人道的な観点から反対する人は皆無でした。
一見、民主的な会議体での意思決定の体裁をとってはいますが、ハイドリッヒの不屈の意思に導かれ、まとめあげられた感じの強い会議でした。 はじめから結論ありき・・・でした。