NHKの朝ドラの「花子とアン」で白蓮さんは九州の炭鉱成金の伊藤伝右衛門(ドラマでは嘉納伝助)との再婚を決め、一途な恋の結果としての結婚を理想としている花子と喧嘩別れとなってしまいます。
ケイト・ブランシェット演じるジャスミンならこうした年上の成金との再婚もありで、白蓮にエールを送ったのではないかと思います。お金持ちと結婚してセレブな生活に返り咲きたい!自分が生き生きとできる居場所はそこにしかないと信じて疑っていないからです。
ニューヨークの上流社会で、ジャスミンは社交界の華でした。ところがハンサムな夫が違法な金融取引で犯罪者になるやら、結婚生活も破たんするやらで、彼女の資産も没収され無一文になり、サンフランシスコに住む庶民的な血のつながらない妹の家に転がり込んできます。
セレブリティ生活からどん底に堕ちたジャスミンには、プライドはあっても生活能力はなく、パソコン操作もままなりません。
こうした主人公ジャスミンを演じるケイト・ブランシェットの演技が心憎いのです。他人の不幸は蜜の味といいますが、観客からみると滑稽なシチュエーションを大真面目に演じてくれています。服はシャネル、バッグはエルメスですが、くたびれた哀愁漂う微妙な風情を見事に表現していました。 労働階級の妹の家でも、見栄坊で高飛車でそしてちょっぴり壊れているジャスミンの顔の表情が圧巻です。
今年のアカデミー主演女優賞で早くから対抗なしのリードで独走の受賞が納得できる演技でした。
貪欲で傲慢で嘘つきでそれでいて憎めない富裕層の女性像を見せてくれています。特にアイシャドウが溶けて隈取のようになった般若顔のケイト・ブランシェットには大感激でした。
ウッディ・アレンの指導にキレタとの噂もあったケイト・ブランシェットですが、ウッディ・アレンのアカデミー主演女優賞量産の手腕にも感心させられますね。