有楽町、イトシア4階の「ヒューマン・トラスト劇場」で観ました。
綾野剛、池脇千鶴の演技が光っていました。
函館の貧しい集落で、無為に過ごす男の心情を綾野剛が好演していました。ヒロインの池脇千鶴の濡れ場も官能的で切なかったです。
寄る辺なきカップルがぎりぎりのところで踏みとどまって浜辺で明るい光に包まれるラストシーンは、その切羽詰まった希望の薄い状況とそれでも場違いなほどの美しさを見せる浜辺での奥行のある映像のコントラストに息を呑んでしまいました。
綾野剛の演技は、最近、「白ゆき姫殺人事件」やTVの「ロング・グッバイ」等で頻繁に観ていますが、持っている雰囲気がいいですね。ちょっとフランス女優のレナ・セドゥに似たアンニュイな表情に特徴があります。
心に苦しみと寂しさを抱えた主人公達夫の捨て鉢な態度と、千夏(池脇千鶴)との愛に救いを求める一途さ・一徹さの危ういアンバランスさを見事に演じきっていました。役者綾野剛を見直してしまった作品となりました。