本作は、2013年の第66回カンヌ国際映画祭で、パルム・ドール(最高賞)を獲得しました。審査員長を務めたスティーブン・スピルバーグの計らいによって、アブデラティフ・ケシシュ監督とともに、エマ役のレア・セドゥーとアデル役のアデル・エグザルコプロスに対してもパルムドールが授与され、カンヌ史上初めて俳優がパルムドールを手にしたことで注目を浴びました。
フランスの人気コミックが原作で、青い髪の美大生エマと出会い、運命的な恋に落ちた女性アデルの情熱的な人生を、大胆な性愛描写とともに描いてくれています。文学を愛する高校生アデルは、青い髪をした美大生エマと運命的な出会いを果たし、2人は激しく愛し合うようになりますが、やがて時の流れとともに2人の気持ちは次第にすれ違っていくという、物語としては月並みなものでした。 原作のコミックのラストにある、死別のシーンは大胆にカットされていました。
その分、長く激しい同性愛の描写やアデルの高校生活、政治デモ、食事のシーンが、これでもかこれでもかと繰り返されます。このカメラ・ワークの執拗さには驚かされます。
等身大のアデル(アデル・エグザルコプロス、21歳)も愛おしく感じられる作品でしたが、「美しい人、’08」でアンニュイな表情の女子高生を演じてくれたレア・セドゥーも今や28歳。ハンサムなレスビアン、青い髪のエマをカッコよく演じてくれました。つらい別れの複雑な心理を顔の表情で語ってくれるところ等、もはや円熟の演技力も感じさせてくれています。
女優二人の絡み合い演技の熱さと、リアルな存在感に圧倒された2時間59分でしたが、正直なところ、術後の膝には少々つらい長さで、途中で、この映画は永遠に終わらないのではないかという不安もありました。