映画の題名通り、チャーミングなジュデイ・デンチに会ってきました。この映画で。「恋におちたシェイクスピア」のエリザベス一世役も、007シリーズのM役もいいけれど、このインド北西部のジャイプールにあるマリーゴールド・ホテルのゲストのジュディ・デンチが素晴らしいのです。80歳近いお歳とはとても信じられません。冷酷なMとは対極で少しはにかみ屋さん。でもイギリスでは経験できなかった仕事をインドで見つけ、新しい自分を見つけていくのです。インドの風にあおられて、たくましく、そして優しく、元気になっていく姿が本当に微笑ましいジュディ・デンチでした。
監督は「恋におちたシェイクスピア」の名匠ジョン・マッデン氏です。原題は「The Best Exotic Marigold Hotel」。
退職したり、長年連れ添った伴侶に死に別れたり、順番を待つことなく股関節の手術をしたかったり、最後のロマンを求めたりと、様々な事情を抱えた高齢の男女7人が新天地インドでセカンドライフを夢見てインドのマリーゴールド・ホテルにやってきます。
豊かな色彩、最大音量の喧騒、人々の愛想の良さと最大級の歓待、貧しさと豊かさが混在しエネルギーと熱意が喜びに溢れている・・・・、ジュディ・デンチの科白が効いています。「この国は人の感覚を絶え間なく刺激してくる。」インドは刺激のスパイスに溢れ、コントラストに満ちて人の生きていく姿勢を変えてくれる魔法の国のようです。
7人の中には最後までインドの風に馴染めず英国に帰る人、想いの人に長年の無沙汰を詫びて突然死する人等もでてきますが、白眉は主人公のジュディ・デンチとマギー・スミス演じる股関節に問題を抱える老婦人です。この股関節夫人は最初は極端にインド人を嫌っていましたが、徐々に徐々に環境に適応しながらインドのいいところに気づいていき、インド人に感謝もし、インドの生活を好きになっていきます。そして遂に自分のキャリアをインドで生かす道を見つけるのです。頑迷な老女だった彼女の大きな変化には驚いてしまいます。何のキャリアだったのかは映画での楽しみにしてください。マギー・スミスは「ハリー・ポッター」シリーズのマクゴナガル先生役を演じていました。皆様にもおなじみの顔だと思います。マギー・スミスの顔の表情、所作の一つ一つの演技からその変化を読み取る楽しさもこの映画のお勧めポイントです。
この映画を観た後はあなたも、マリーゴールド・ホテルの魔法にかけられていますよ!インドに行ってみたいという誘惑に打ち勝つことが難しくなっているかもしれませんね。