男女逆転の大奥を描いたよしながふみの漫画の映画化作品です。
菅野美穂が次々と衣装替えをして着物のファッションショーという趣はありましたが、放映時間が長くヤマ場が少なく観ていて少々退屈でした。堺雅人扮する右衛門佐(えもんのすけ)の一途の愛を描いたのかもしれませんが、燃え尽きずにくすみ続ける愛とか恋には正直なところあまり共感はできませんでした。
綱吉演じる菅野美穂が号泣するシーンで口元が思い切りアヒル口に広がっていくシーンに圧倒され逆に笑いを禁じ得ない私でした。
綱吉の治世の前半は政治に熱心で善政を行いましたが、晩年は側近に政治を丸投げし生類憐みの令を出すなど民衆の反感を買って「犬公方」とあだ名されたとされています。
しかし、最近では新説が出て、綱吉の政治手腕の再評価も浮かび上がっているようです。
彼の治世30年間に京都、大阪に栄えた絢爛豪華な元禄文化では、物価が上がり、そしてバブルが崩壊、その中、生類憐みの令で民の道徳心を養い、貨幣改鋳でデフレ回避政策にあたるなど、時代の大転換期と向き合ったという見方です。それゆえ、近代的な感覚をもった名君だというのです。
さて、今の転換期に「アベノミクス」と呼ばれるデフレ回避政策を掲げた岸信介元首相の孫の安倍慎三首相は、はたして名君となるのでしょうか?