株高とともに円安特集が週刊誌を賑わしています。去年の日銀による大規模円売り介入がきっかけとなったとも、日本の貿易赤字だとも言われています。 また底堅い米国の景気回復に米金利上げの時期が早まるとの憶測もあります。いずれにせよ、海外機関投資家やヘッジファンド等がこれまで積み上げてきた円買いポジションを反転させたようです。
チャート的にも2011年10月の75円台と2012年2月の76円台でダブル・ボトムをつけ円高トレンドから長期円安トレンドへ転換したようにみえます。80円台以下どころか、82円台以下でもなかなかドルが買えない相場動向が続いています。ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのジム・オニール会長も3月のレポートで2012年中にドル円相場が100円にまで戻る可能性を否定できないと言っていたようです。
マイケル・ルイス氏は世界的ベストセラーとなった著書「世紀の空売り」で文字通り空売りで巨万の富を得たヘッジファンドを追ったレポートを書き記しました。同著者の最新刊「ブーメラン、欧州から恐慌が返ってくるくる」ではそのヘッジファンドが今度は日本とフランスの国債デフォルトに懸けていると言っています。本文では「日仏の破たんに最大のチップをはる」という言葉遣いになっていました。
藤巻健史氏が「なぜ日本は破たん寸前なのに円高なのか」という本を書いています。彼も円と国債がバブルの極限ではじける寸前だと警鐘を鳴らしています。
長く続いた不合理な円高に慣らされて、75円~80円の5円幅が、80円~85円の5円幅へ上方シフトしただけだと思って不用意に85円付近を売ってしまうと大きな相場の節目を見失ってしまうかもしれません。