今、日経は朝刊の小説が、安部龍太郎の「等伯」、夕刊が角田光代の「空の拳」、日曜のコラムに瀬戸内寂聴の「奇縁曼荼羅」・・・と充実しています。
日経の「私の履歴書」には自ら即興人生を歩いてきたと豪語する山下洋輔の執筆が始まりました。
山下洋輔氏はジャズ・ピアニストですが、達筆でいろいろ随筆を書いておられます。まだ「私の履歴書」には紹介されてないのですが、彼の文体に大きく影響を与えたのがSF作家筒井康隆氏のようです。実際に交流もあるようでそのあたりの話を楽しみにしています。
それと山下洋輔氏は大の蕎麦好きでもあります。蕎麦の話もそのうち出てくるでしょう。
本日の日経の「私の履歴書②」なのですが、彼の即興人生面目躍如というべき面白いことを書いていました。
曰く、「未知のものとの接触がもたらすスリルと恐怖と、それをしのぐ快感がこのとき体に植えつけられたのかもしれない。後年「異種格闘技セッション」を求める体質の萌芽だったのかと、今になって後付している。」
これは彼が小学校3年のとき、お父さんの仕事の関係で東京から福岡の田川市に移り、田川弁が理解できず学校友達になじめなかったときの話です。歩きながら話している同級生の中に、「いいいっちゃ」という相槌言葉を発して割り込んでなんとか仲間入りできたというエピソードからのお話でした。
「未知のものとの接触がもたらすスリルと恐怖とそれをしのぐ快感」という表現に私の琴線が共鳴しました。
私は、幼稚園は2回、小学校は5回、中学校は3回、出戻りを含めて転校しました。自ら求めた訳ではありませんが未知との接触の恐怖・スリルは幼児体験として染み付いているようです。 まあ、いいいちゃ!