2年前に五木寛之さんの講演を聞く機会がありました。躁鬱病と如何にがんばらずに付き合っていくかということがテーマだったと思います。
日本は1998年以来13年に渡って自殺者の数が30,000人を超えています。1日換算で毎日90人の方が自殺しています。人口が日本の約2倍の米国の年間自殺者が日本の二分の一ということを考えますと如何にその数が多いかがわかります。
心の病気をもつ人が増えて、心療内科が大忙しのようです。
うつ病の病状もずいぶん変わってきているようです。昔は真面目すぎて自責の念の強い人がかかる病気だったそうです。
最近は若い人が多く、学校を卒業しても社会や会社になじめずドロップアウトしてしまうようです。特徴として自分がうまく対応できない現実に対して自分の問題と思わず、上司、会社、社会のせいにするようです。したがって会社から離れると元気らしいのです。心療内科の医者に対しても協力的で自ら「休職しろって書いてください」と依頼するようです。こうした患者さんには抗うつ剤の薬はあまり効果がないようです。
働きがい、生きがいに関して、個人が会社に求めていることと、会社が個人に求めていることのギャップが今ほど大きくなっているときはなかったと思います。
苦労知らずの若い人に厳しく接するとすぐ辞めてしまうので、会社の人事の採用担当者も中高大学一貫校卒業生を敬遠したりしているようです。苦労を経験したとか壁を乗り越えた経験をもった学生を迎えたいようで、最近の面接で聞かれる典型的な質問になっているようです。
問題に対してはその問題をどう認知するかどう捉えるかによってその行動パターンも変わってきます。うつ病になりやすい人の認知の癖として、①All or Nothing、②一般化のしすぎ、全てそうだとか皆そうだとか社会が悪いとか、③べき、ねばならない思考、④結論の飛躍(早合点)。⑤個人化(自分のせい)等があげられます。認知行動療法はそうした捉え方の歪みを修正することからはじめるようです。
簡単な例ですが、もう50歳だと捉える人とまだ50歳だと考える人の活動は当然のことですが、変わってきます。行動が変わると出会いも変わり運も変わってきます。
今回の震災をどう捉えていくのか?日本にとっても個人にとっても試練の年になりそうですね。